法令関係の概要
ドローンの農業での利用拡大に向け、令和元年7月に大幅な規制緩和が行われています。以前は、農林水産省の外郭団体である農林水産航空協会に機体を登録し、協会の指定講習所で受講することが必要だったようです。
現在では、「国土交通省航空局で飛行の許可・承認」を受け、「無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン」及び「航空局で承認を受けたマニュアル(空中散布)」に従って農薬の空中散布をすれば良いようです。
農林水産省のパンフレット「ドローンによる農薬等の空中散布を行う際の手続き・留意事項について」が分かり易くまとまっています。
ドローンで農薬散布をするまでの手順
1.航空法に基づき国土交通省へ許可・承認の申請を行う
オンライン申請(DIPS)、郵送又は持参により申請を行います。散布予定日の少なくとも10開庁日前(祝祭日を除く10日前)までに行う必要があります。
許可・承認の申請をするには、以下に関する資料の提出が求められます。
① ドローン機体の機能・性能
② 操縦者の飛行経歴・知識・技能
③ 空中散布に係る安全確保体制(飛行マニュアル等)
- 「ドローン機体の機能・性能」に関する資料の一部省略
「資料の一部を省略することができる無人航空機」を使用した場合には、資料の一部を省略できます。 - 「操縦者の飛行経歴・知識・技能」に関する資料の一部省略
「無人航空機の講習団体及び管理団体」の講習を受講している場合は、資料の一部を省略できます。 - 「空中散布に係る安全確保体制」に関する資料の一部省略
「航空局標準マニュアル(空中散布)」を使用する場合は、資料の一部を省略できます。
2.(愛媛県の場合)愛媛県無人航空機利用技術指導要領に基づき、計画書及び無人航空機設置状況、実績書を提出する。
「無人ヘリコプターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン」に準じて、地方局産業振興課(県外業者は、県庁農産園芸課)に「愛媛県無人航空機利用技術指導要領」に基づき、計画書等を提出することが求められています。
3.「無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン」及び「航空局の承認を受けた飛行マニュアル(空中散布)」の記載事項に留意し、ドローンによる空中散布を行う。
「無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン」の主な留意事項
- ドローンで空中散布を行う農地周辺の地理的状況(住宅地・水道水源等)、耕作状況(収穫時期、有機農業が行われている農地等)等を十分に現地調査して、実施除外区域の設定や散布薬剤の種類、剤型の選定などを含めた計画書を作成して下さい。
- 実施区域周辺(公共施設、民家、巣箱を設置している養蜂家、有機農業に取り組む農家等)へ事前に情報提供し、注意喚起をしておく。
- 農薬空中散布実施区域内へ第三者を侵入させない。
- 空中散布時には以下の点に留意する。
・風向きを考慮した飛行経路を設定する。
・散布方法(飛行速度、飛行高度、飛行間隔及び最大風速)は、機体メーカーが取扱説明書とうに示した散布方法を参考にして行う。
・空中散布の際には、農薬の散布状況及び気象条件の変化を随時確認しながら、散布区域外への飛散(ドリフト)が起こらないよう十分に注意する。
日中・夜間の目視内、又は日中の目視外での空中散布において、立入管理区画の設定等を行えば、操縦者の補助を行う者(ナビゲーター)を配置する必要が無くなったようです。
詳細については、「航空局標準マニュアル(空中散布)」の13、14ページをご確認下さい。
※参考資料
「無人航空機による農薬等の空中散布に関するQ&A(使用者向け)令和2年5月7日付け農林水産省消費・安全局植物防疫課」に細かな疑問点についての回答が載っています。
また、「ドローンで使用可能な農薬」が掲載されています。
ご参考までに。
農薬散布用ドローンの種類
色々な会社で開発が行われています。以下にリンクを張りますので、参考にして下さい(アイウエオ順です)。
・石川エナジーリサーチ(http://ier.co.jp/)
Agri-Flyer(アグリフライヤー)
・エンルート(https://enroute.co.jp)
AC1500 AC940D
・スカイマティクス(https://skymatix.co.jp/)
X-F1
・DJI(https://www.dji.com/jp)
MG-1 T20
・TEAD(https://www.tead.co.jp/)
TA408 DAX04
・東京ドローンプラス(https://tdplus.jp/)
ヘリオスアグリ10 ヘリオスアグリ5
・東光鉄工(https://tokouav.jp/)
TSV-AH2 TSV-AH1 TSV-AQ1
・ナイルワークス(https://www.nileworks.co.jp/)
Nile-T20
・MAZEX(https://mazex.jp/)
飛助MG 飛助DX 飛助Ⅲ
・丸山製作所(http://www.maruyama.co.jp/products/42/index.html)
スカイマスター MMC1501 MMC940AC
・ヤマハ発動機(https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/)
YMR-08
(ご注意) この記載に従って、農薬の空中散布を行った場合に被った被害について、当方は一切責任を負いません。必ず、ご自分で諸法令をご確認頂き、ご自分の責任において行って下さい。よろしくお願いいたします。